神崎オハルちゃんブログ

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よくは知らない夫婦の幸福を祈る/「逃げ上手の若君」2話/「The Straylight」

(タイトルに記載されてる作品のネタバレがあります。ご注意ください)

 最近近隣の飲食店が潰れまくってる。もちろんコロナの影響は大きいんだろうけど、コロナ以前から地区整備の関係で個人経営店の看板がそこそこの頻度で無くなっていたので、個人店には厳しい状況だったのが、更にコロナで止めを刺された感じだと思う。悲しい。私の好きだったラーメン屋もカレー屋もどんぶり屋も創作料理屋も全部無くなってしまった。以前は様々な飲食店で溢れていた通りは今やシャッターの下りたテナントだらけになり、営業してる店は一部の生き残りとチェーン店のみ。仕事終わりに今日はどのお店で晩御飯を食べようかとそこそこ幸福な気分で通りを歩く喜びは失われ、帰り道はゴーストタウンと呼んでもよさそうな風景に様変わりしてしまった。絶望の風景。

 午前終業の時等たまにランチを食べに行っていた創作料理屋は、旦那さんがお客さんから見える位置で常に厨房で包丁とフライパンを握っており、奥さんがウェイトレスの役目をしていた。おそらく夫婦だけで経営していたのだろう。料理を食べ終わったタイミングで奥さんが「コーヒーお持ちしてもよいですか?」とすぐに聞きにきてくれたのが印象的だった。たまに奥さんはコーヒーを淹れるついでに厨房の旦那さんの方にも飲み物を差し入れ、旦那さんが「ありがとう」と笑顔で口に出してるのを見て、「いい関係のご夫婦なんだなあ」とほんわかしたのもよく覚えている。そんな幸福な雰囲気に満ちていたお店も、入口のシャッターは常に閉まり、店外に置いてあったランチメニューの書かれてる黒板はどこかにいってしまった。めちゃくちゃ哀しい。せめて個人経営店向けの給付金申請とかいっぱいしててほしい。聞いた話だと結構いい額もらえるらしいから。

 冒頭からなんて暗い話をするんだと我ながらびっくりした。こっからは面白かったことの話をするので許してほしい。

 

 「逃げ上手の若君」の2話を読んだ。まあ面白かった。週刊漫画の感想を毎週書くとかキリがないので別に2話感想はわざわざブログで書くつもりはなかったのだが面白すぎたのでちょっと語る。

 頼重めちゃくちゃキモいな。こんな露骨なショタコンおじさん出しちゃって一般受けは大丈夫なんだろうか。一部腐女子層は大喜びしそうだけど私はどっちかというと引いてる派です。

 と冒頭から若干マイナス感情を覚えたのを全部ひっくり返してくれたのが五大院宗重。いわゆる最初のボスなんだがこいつが本当にいいキャラしてる。というかネウロ好きの読者を松井先生が狙い撃ってきた感じある。「南北朝ごっこ 賽の鬼 五大院宗重」のページでネウロ好きは皆奮い立ったのではないだろうか。これだよこれ、俺が松井優征に求めていたものは! 何が嬉しいって今後登場する敵も「〇〇の鬼」って感じで変貌してくれるということだ。ネウロ連載時毎週「今回の犯人はどんな風に変貌するんだろう」とワクワクしていた自分にとっては、まさにあの頃が帰ってきたかのような気分だ。未来は幸福に満ちている。

 でこの五大院宗重、すごい三下悪党なんだけど超つよいというのがいい。小物なんだけど強いキャラっていいよね。このへんの強者対弱者(ただし一芸特化)みたいなやつは暗殺教室でもよく見たので今回はどう料理してくれるのか期待してる。これ渚くんでは?とならないか若干不安でもあるが。

 ところで五大院くん、ほんとにこんな奴いたのかと思って検索してみたらちゃんといた。しかも結構漫画に描かれてる通りのことしてた。時行とかも史実調べてみたんだけど、このへんの時代の人達って生死不明みたいな人たち割と多いよね。生死不明の人ってフィクションに落としこみやすい(信長とか光秀とか)から松井先生は本当にいい時代に目をつけたなと思う。

 しかし松井先生キャラを可愛くかっこよく描くのべらぼうに上手くなったけどやっぱ悪役のゲス顔書いてる時が一番活き活きしてるように見えるな。なぜか茂みからガサーって出てくる五大院とか賽積み上げてる五大院とか絶対ノリノリで書いてるだろ。このへんが暗殺教室でちょっと足りなく感じた部分でもあったので、今後もどんどんゲスくてやられるためだけに存在してるような悪役を出してほしい。そんな都合のいい奴が南北朝時代の史実にそういるのかは知らんが。

 

 シャニマスのシナリオイベ「The Straylight」を読んだ。最終回って感じだった。一連のストレイライトイベで1クールのアニメやりません?

 相変わらず黛御大が最初から最後までずっと最高でずっとかっこよかった。シャニマス全体どころかアイマス全体で一番プロ意識高いアイドルじゃないのか御大。WING編で一回崩れた頃の姿を思い返すと泣いてしまうよほんま。先に言っておくと筆者は冬優子が最推しなので冬優子のことばっか書くと思うから許してほしい。今回のイベに関して言えば愛依もだいぶ良かったが。

 まず単純に好きだったところから適当に。全体のシーンの中では素人のものまね動画見てるとこが一番好き。ずっと笑ってる愛依とずっとキレてる冬優子と最初困惑しつつ最終的に超クオリティ高いものまね披露するあさひ。とても良い。「Straylight.run()」から考えるとほんと仲良くなったよねこの人達。あとあさひのものまねは本当にすごいので普段声飛ばし気味で読んでる人もここは是非全部聞いてほしい。そこまでの大御所いるわけでもないのにシャニ声優さんのレベルめちゃくちゃ高いな改めて思わされた。

 ものまねに関連するエピソードだからついでに語るが、イベ報酬サポSSR愛依の「冬のおはなし」も素晴らしかった。イベ5話で徹夜してる冬優子と愛依のエピソードなんだけど「徹夜時脳味噌空っぽにして思いついたこと適当に喋ってる」感じのリアルが凄まじい。「いや今寝たら絶対起きれなくなるから~」とか百回くらい聞いたことあるぞ。朝になってすっすすっす言いながら出てくる二人も最高に良い。仲良しかよ。あとここの愛依ちゃんの声最高にかわいい。

 あとは4話で「スカっとした」と冬優子にだけ漏らすプロデューサーに対しての「いっけないんだー」が最高すぎた。あそこでドア開けて出てくるの素晴らしすぎる。

 もうちょっと全体的に見ていくと、今回のイベはストレイライトの皆が「アイドルになりたての頃望んで自分になれた」=「目標に到達した」ということを描写しつつ、なおそれよりも先を目指すストレイライト、ということをテーマにした話だったように思う。

 まず愛依についてはイベント開始当初の時点で「素の自分でステージに立つこともできそう」と自覚しており、これは「いつか素の自分でお客さんの前に出たい」という愛依がずっと目指していた目標に到達している。だが、今までのキャラを捨てることによって周りに迷惑をかけることを思うとどうしていいのか分からくなってしまった、というのがシナリオ全体を通した問題であり、愛依は最終的にこの問題に対して「ステージの自分も自分」「やりたいようにやるからこそ『この子』を続ける」という結論を出す。また、サポSSRイベ「愛のおはなし」ではファンに「ステージの私を見てて。私はそこにいる」と語り掛ける。

 この一連の流れで素晴らしいのが愛依が悩みをすぐ冬優子に相談してるとこで、冬優子も冬優子で愛依の素を晒すことをポジティブに肯定しながらも、そのリスクも認識しつつ具体的なプランを長期に渡って作成し、更にその内容をプロデューサーとも相談しつつ検討を進めている。登場人物全員がこの問題を抱えた時に、ベストの行動をとってる感じが凄まじくノンストレス。できる中間管理職が過ぎるぞ冬優子。キャリアウーマンとかになってもバリバリ仕事できるんだろうな冬優子。かっこいいよ冬優子。

 他にも2話の冬優子の有能感もすごい。愛依に以前聞いたのと同じ話をもう一度されても「それ前聞いたよ?」とは言わずただ「ふーん」とだけ返し、話の続きを促した結果「…ああ」と愛依の話したい方向を把握するの超かっこいい。また、2話中冬優子は3回「ありがと」と言っている。1度目は愛依にヒールで歩くことを気遣われた時、2度目は愛依に率直な意見を聞かせてくれると評価された時、3度目はPにマーケティング関係の本を用意してもらった時。同じ話中に3回も「ありがと」を言わせたのはたぶん偶然では無く、「ありがと」と言えるようになった=周囲と接する能力が上がったことを描写することで成長した冬優子を強調したということではないだろうか。向上心の塊としての冬優子は今までも何度も描写されてきたが、「ふゆ」ではない「冬優子」にも協調性が産まれたことの示唆だと、この三度の「ありがと」について自分は解釈した。

 冬優子はシナリオオープニング中、WING編で一度否定されたカメラマンのイチオシアイドルになっているという点で一つの目標に到達している。また4話で以前敗北したものまねアーティスト達に完勝したことで、ストレイライトとしての非常に高い能力を示す。だが6話でストレイライトをトレースしたゲーム用MVを見せられ、冬優子はそれを「完璧」と評しつつも、それが自分のなりたいストレイライトではないと否定する。これもまた冬優子が目標のその先へ進むことを決意した瞬間だと思う。

 あさひに関してはこのイベント中では正直そこまでの描写は見受けられない。ただ、同時実装されたPSSRあさひのコミュで新しいことに挑戦した結果、成長痛というトラブルを経ながらも、「カチッと音がした」結果、目標とは別の、ミュージカルという新しい舞台で成功を収めるあさひの姿が見れる。

 ほんとに冬優子の話ばっかで申し訳ないが、エンディングでの回想でもやはり冬優子が印象的。昔の冬優子は「可愛くて」「かっこよくて」「キラキラしてる」そんなアイドルになれると思いますか? と問いてくる。「可愛くて」「かっこよくて」「キラキラしてる」。今の冬優子、及びストレイライトに対してこれほど適した表現があるだろうか?

 エンディングで最終的にPは「なれたよ」とストレイライトが一応の目的に到達できたことを認めつつ「これからもっとなっていくんだ」と彼女達が更にその先に進んでいくことを確信する。そして一番最初に「なれると思いますか?」とPに訪ねた冬優子が以下の言葉で締めて物語は終わる。

 「焦らなくても……なれるんだから 『これがストレイライト』って胸を張れるアイドルにね」

 これが胸を熱くせずにいられようか。かつて「できると思いますか?」と訪ね、一度は「やっぱり無理だった」と逃げ出した冬優子が、今や言われるまでもなく理想に届くことを確信しているのである。「やりたい」「なりたい」と最初から前向きだった他の二人ではなく、「なれると思いますか?」と当初は一番後ろ向きだった冬優子にこの台詞を言わせるのほんと天才だと思う。

 余談ではあるがもう一つのエンディングであるサポ愛依コミュ「愛のおはなし」中で「誰もいないところ踊るアイドルがどこにいるのよ」と(冬優子が)ぼやきつつ、三人誰もいない街灯の下で楽しそうに踊るストレイライトの姿はどこか天塵のノクチルに重なるところがある。締めの「あたしたちのいるところにステージはあるんだ」という愛依の結論もノクチルを連想させる。かたや貪欲に向上を続けるストレイライトと、かたやゆっくりながら自分たちのペースでどこかへ向かおうとしているノクチル、一見対照的な両ユニットの共通点として見ると興味深い。

 普通に感想書こうとしただけなのになんか考察じみてしまった。「WorldEnd:BreakDown」未読のくせに。こっちもそのうち読みたいんだけどシャニのシナリオイベってボリュームや読み終わった後にいろいろ振り返りたくなるのがすごいから読む前に結構気合いるのよね。復刻あったらそれをきっかけに読んでるんだけど世間評価高めの「薄桃色」も含めこの2つはそのうち読んどきたい。

 最後に、今やってるバレンタイン準備コミュが短いながらすごく各キャラの特徴捉えてるので軽い気持ちでさわれて大変オススメ。今読んだ中だと灯織と凛世と円香が特に良かった。「あと」の2文字だけでいろいろ考えさせてくるのずるいぞ樋口。